第4章 夕虹
……ただなんとなくというだけの理由で、俺は、この間大野さんを助けたホテルの前にきた。
ここにいるなんて保証はどこにもないし、もはやバイトをしているのならば、大野さんは大丈夫なんだろうとは思うけど。
ここまできたら、元気な姿がみたい、と思った。
二宮の言葉がずっと刺さってるのもあった。
エントランスホールではさすがに待ち伏せはできないから、前に来たコーヒーショップに入る。
俺は、グランデサイズのカフェラテを手に、外が見えるカウンターに陣取った。
時間はまだ八時前。
今から来るのか、もう来てるのか。
そもそも今日の仕事先はここなのか。
なにもわからなかったけど、俺は、ここにしばらくいようと決めた。
誰にも迷惑はかけてない。
気がすんだら帰ればいい。
それだけのことだ。
……グランデサイズなんか注文したことなかったけど。
飲みきれそうだな。
熱いラテを一口含んだ。