第4章 夕虹
Satoshi
昔から、朝飯はあまり食べない。
父ちゃんはいつも仕事で忙しかったから、小さい頃は自分でパンをかじったりしてたけど、それもいつしかめんどくさくなり、飲み物だけで間に合わすようになって、ずいぶんたつ。
もともと、自分は食には興味はないんだろうなと思う。
昼飯も、あんパンとイチゴオーレさえありゃ充分だし。
夕飯も、食べたり食べなかったりだ。
俺は、マグカップに、オレンジジュース……それも、うすーい味のをとぽとぽと注いだ。
それをちびちび飲みながら、小さなテレビをつける。
白い蛍光灯がぼんやり照らす薄暗い部屋に、そらぞらしいまでに元気なキャスターの声がした。
月曜日の朝は、殊更にしんどい。
俺は、甘ずっぱいオレンジを胃に流し込みながら、よろよろとベッドに座った。
昨日の客に、無茶な体位で何度もつっこまれたせいで、腰が痛い。
日曜日は、翌日が学校だからいつもなら断るけれど。
提示された料金が破格の値段だったから、思わずオッケーしてしまったのだ。
……しばらくあの客は断ろう。
梅雨はまだ明けないようで、全国的に雨だ、と、お天気おねーさんが言ってるのを、ぼんやり聞く。
何気なく窓の外をみたら、しとしと降る雨で灰色の世界だった。