第4章 夕虹
すやすや寝てる智の綺麗な眉は、安心しきったように八の字を描いてる。
長い睫毛は、ぴくりとも動かない。
深い眠りに入ってるみたいだ。
俺は、智の顔をじっと見つめた。
実は……近頃は、疑似ではなく、本当に、彼をいとおしく思う気持ちが芽生えてきてて、戸惑う。
智が体を開いた相手に嫉妬すらしてる自分に気づいたときは、さすがに我ながら引いた。
……やばいな……俺。
未来のない恋愛なんて……しかも幼馴染み相手になんてありえないのに。
智は、俺がそんな想いでいるなんて、少しも思ってないのに。
俺は、軽く首をふり、智を抱きしめる腕を強めて、寝てしまおう、と、目を閉じた。
少しあいた窓から、サーっという雨の音がきこえてきた。
ああ……また降りだしたな。
そう思いながら、意識を手放した。