第4章 夕虹
あっちとは……おそらく裏のバイトのことを指すのだろう。
だが、二人ともそ知らぬ顔をして、この話題を流そうとしてるのが、ありありとわかる。
……どうしよう。
つっこんでみていいかな。
確か大野さんは、長野さん三宅さん、あと同じ立場のスタッフ何人かしか知らないことだと言っていた。
てことは、この2人は知ってるってことだ。
ただ……きっと、この話はトップシークレット。
こちらから話をふっても、迷惑になるだけかもしれない。
まぁ……いいか
大野さんがここにいないなら、用はないし。
居場所きいたところで教えてはもらえないだろうし。
俺は、腰かけてたスツールから立ち上がった。
「すみません……大野さん探してただけなんで帰ります」
すると、俺が変な質問しなかったのがありがたかったのか、二人とも一様にほっとした顔をした。
そうして長野さんが、ゆったり微笑んだ。
「そう……また来てね。今度はお兄さんつれておいで」
俺は頷いて、ぺこりと礼をした。