第4章 夕虹
瞬間、わけもなく涙がでてきそうになった。
嬉しいとかじゃない。
どうして……と思う気持ちが大きい。
だって……こないだ言ったじゃん?
俺のバイト。
それで……そんなん……
「……憐れみ?」
自然と口をついてでた言葉は、自分でコントロールできないほど硬かった。
松本の瞳が驚きに見開かれた。
「……え……?」
「体を売って金を稼いでるから……?かわいそう?」
「……なにいって……」
松本の瞳が、みるみる怒りの色にかわってゆく。
俺は、それを妙に冷静にみてた。
だって、変じゃん。
軽蔑されるならともかく。
オッサンに体売ってんだよ。
……そんなやつ、好きになる人がいるわけねーじゃん……。
それに。
もし、まかり間違って、それがマジならば。
「俺は……ほんとに……!」
松本の言葉を手をあげて制した。
「……ダメだよ。俺なんか」
呆然とした松本の瞳をじっと見返した。