第4章 夕虹
その戸惑う顔をみて、ハッと我にかえる。
気持ちを封じ込める苛立ちで、当の松本にあたるなんて……お門違いもいいところだ。
むしろ、カッとした自分にびっくりしてしまう。
俺はあわてて謝った。
「……ごめん」
「ほら……なんで、すぐ謝るの?」
ところが、すかさず 松本が突っ込んできた。
泣きそうな顔で、力強い口調で。
「…………」
「俺は、大野さんのこと、みてるからわかるんだ」
「…………そんなの」
「ずっと……みてた」
掠れるような小さな声。
俺は、松本の強い視線を切ることができなくて。
息をするのも忘れて、松本の瞳をただただ見つめた。
松本は、すうと息を吸い込み、俺をしっかりと見据えた。
俺はわけもなく緊張して、金縛りにあったように体を動かせずにいた。
直感的に、その先を聞いちゃいけないと思うのに。
声が出せない。
…………やめて
「だからわかるよ」
「…………」
やめて
「………好きだよ」
「…………」
…………うそ……
「大野さんが好きだよ。……だからわかるんだ」