第4章 夕虹
ドキリとした。
バレてるとは思ってたけど……そこまで、よそよそしかったかな、俺は。
どうしてそんな顔するんだ、と突っ込みたくなるような松本の泣きそうな顔を見ない振りをして、俺は肩をすくめた。
「そうかな……俺だって笑うよ?」
「うん。でも今日はいつもより笑顔が綺麗」
「そんな……いつも汚いみたいじゃん」
わざとふざけて混ぜっかえす。
すると、松本は、ちょっと真剣な瞳になって、身を乗り出してきた。
「ねぇ……何かあった?」
「……なんで」
「ちょっと……気になるんだ。これまでと最近、全然雰囲気違うから」
……核心に触れてきた。
ここでか。
俺は、視線をさげ、松本の目を見ないようにした。
我慢してるものが、ポロリとでてしまいそうで、唇を引き結び、首を振る。
「なにもないよ」
「うそだ」
「……どうしてそう思うの」
「わかるから」
断言する松本に、何故だかカッとした。
こんなに……こんなに俺は我慢してるのに。
なんで、そんなこというの。
「……俺の何がわかるの?!」
「そ、れは……」
俺の剣幕に、松本が一瞬言いよどんだ。