第4章 夕虹
Satoshi
松本に、俺のしてることを暴露してからこっち、俺は一切の感情をとめた。
もちろん、雅紀さんの手前、学校には行ってるし、学校でのおとなしい大野くんは完璧に演じてるつもりだ。
だけど、松本の前でも、KINGでも……心からの喜怒哀楽はだせなくなっていた。
俺という人間を、認めてくれる人なんて、どうせいないだろう、と思えば思うほど、自分を出すのが怖くて。
雅紀さんに会うまでの、自暴自棄な自分に戻った感覚だ。
だが、そんな俺に、松本は普段とかわりなく接してくれている。
もしも、松本が、俺が体を売ってることに対し嫌悪感を抱き、俺から離れていってしまったとしても、それはしょうがないことだと思っていた。
それくらいの覚悟で、俺は話したから。
でも、松本はあれ以来その話題には一切触れてこない。
かといって腫れ物をあつかうような、素振りもない。
むしろ全くフラットな態度に……俺はかえって困惑していた。
気持ち悪いとか言ってくれた方がまだましだ。
何を考えてるのか見えないのが、一番怖かった。