第4章 夕虹
長野さんの作ったハイボールを何杯飲んだか分からない兄貴を引きずり、お礼をいって店をでた。
「もぉ……兄貴。しっかりしてよ」
「しっかりしてるぞぅ、俺は」
「うそ。目すわってんじゃん」
「いや、あの店はいいな。気に入った」
ぱちんと手をたたき、兄貴は上機嫌だ。
途中で二人でカウンターに移動し、長野さんや三宅さんといろいろ話をしたが、兄貴はよほど波長があったのだろう。
特に長野さんとは、自分の職でもあるIT関連の話がたくさんできて、楽しかったようだ。
あとできけば、長野さんは、それこそバーテンダーになる前はエンジニアだったって。
兄貴は、KINGは大野さんの嘘の経歴に騙された店、と構えて入店したみたいだけど、最後には、
『大野、あいつは、大人っぽいから分からなくてもしょうがないだろう』
なんて言ってる始末。
まぁ、いいけどね。
兄貴が、ぐびぐび飲んでる横で、俺はひたすら食ってたから腹一杯だ。
今日は禁酒します、なんてあらかじめ冗談混じりに伝えておいたのが幸いして、アルコールを注文しなくても、三宅さんたちには、何も言われずにすんだ。
腕時計に目を落とせば、真夜中に近い。
こんな賑やかな繁華街にいたら、時間の感覚がないが、もう結構な時刻だ。
俺は、鼻歌を歌う兄貴の腕をとり、歩き出した。