第4章 夕虹
特別、無視をされたわけでもない。
朝はいつもバスで会ってるし、たわいもない話もする。
学校であえば挨拶もするし、立ち話だってたまにしてる。
……でも、なんだろう。
俺にしか、分からない変化があるのだ。
薄い壁が一枚作られたような。
これ以上は、踏み込まないで、と線引きをされたような。
少し前、海で一緒に過ごした無邪気な大野さんは……正直、今はいない。
それが、最近の俺の悩みでもある。
「……大野さん……ほんとに笑わないんですか?」
「ぜーんぜん。逆に、その冷たさがたまらんっていうマゾ的なファンはいるけど」
横から、三宅さんが口をはさんだ。
「……あいつの笑顔好きだったんだけどな」
グラスを拭きあげながら、ぶつぶつぼやく三宅さんを、長野さんは宥めるように肩をたたいた。
「ちょっと疲れてんだよ。今度、松本くんとお客さんとして来てもらって、酔わせてみよう」
「酔う~?あいつ、最初来たとき、試しに結構飲ませてみたけど、えらく強かったよ」
三宅さんが、口を尖らせた。
俺は、やりとりをききながら、ちょっと大野さんと話をしなくちゃな、と思ってた。
…………絶対、何かあったんだ。
笑うことができなくなるほど。