第4章 夕虹
隣でシェーカーを振っていた長野さんが、グラスをホールの子に託して、笑顔でこちらを見やる。
「久しぶりだね、松本くん」
「はい、ご無沙汰してました」
あの襲われた件以来、ここから足が遠のいていて。
理由を知らない二人と会うのは、ほんとに久しぶりのことだった。
「今日はお兄さんときてくれたの?」
「はい」
「仲良いね」
「年が離れてるんで……時々こうやって一緒に飯にでかけて奢ってもらうんです」
へへっと笑うと、長野さんは、そうかーと穏やかに相槌をうつ。
「最近、大野とは会ってるの?」
「…………」
学校で会ってるけど、俺らは高校生だってのは内緒だ。
「……はい、時々」
俺は無難に返事をする。
すると、長野さんは肩をすくめた。
「今度さ、一緒に店きてよ。なんかさ、大野、ここ来たばかりの時みたいに全然無表情になっちゃってさ……」
「…………」
「にこりともしないし。サイボーグみたいな時代に戻っちゃって」
「……そう……ですか」
「なにかあったか知ってる?」
「いえ。……俺は何も」
俺は、最近少しよそよそしい大野さんを思い出していた。