第4章 夕虹
兄貴の言う通りかもしれないと思った。
大野さんは、どうしてこんなに無理してバイトするんだろうと思ってたけど。
高校を卒業したら自立する金。
あるいは、お世話になってる雅紀さんに返金する金。
そのために働いてる、と思えば辻褄があう。
今まで気がつかなかった、とばかりに、固まってる俺をみて、でもな……、と、兄貴は肩をすくめた。
「……だからといって、違法なことをしていい理由にはならないぞ」
「…………」
「大野が未成年なのがばれたら、そこのKINGって店にも迷惑がかかる。オーナーは下手すりゃつかまるし、店自体の売り上げにも影響があるだろう。そうなると、従業員の生活にも支障がでる」
「…………」
「感心はできない」
兄貴は、バッサリと言い捨てた。
俺は、急にドキドキしてきた。
なら、売りなんて、更にやばいんじゃないの。
新聞沙汰だよね?
トップニュースになったっておかしくない。
長野さんや三宅さんの穏やかな笑顔を思い出した。
あの人たちが働く場所を失うかもしれない。
俺は、いてもたってもいられなくなった。
大野さんが悪者になるのは嫌だった。
急に、挙動不審になってきた俺に、兄貴は、
「…落ち着け」
と、ため息をついた。