第4章 夕虹
兄貴は黙って俺の話を聞いて、
「ふ……ん…………」
と、腕組みをした。
その大きな瞳の険しい色に、俺の話の内容に対してあまり良い印象を受けなかったことが分かる。
俺は、唇をかんで兄貴を見つめた。
わかってる。
大野さんの世界は、俺と違うって。
でも……それでも……
「……大野は……金に困ってるのか」
「……え……ううん……たぶんそんなことない……と、思う」
思ってもみない問いに、俺は、慌てて、以前大野さんと話したことを思い出した。
確か、今は、経済的にも雅紀さんにお世話になってるって言ってた。
学費も出してもらってるって。
そういうと、兄貴は、ため息をついた。
「以前、雅紀が、大事な人の忘れ形見を気にかけてるって言ってたけど……」
「……それ、大野さんのことだよ」
「そうか……」
兄貴は、軽く頷いた。
「大野は……必死で自立しようとしてるのかもしれないな……」
「え……?」
「俺の印象でしかないけど、物静かそうな大野は、未成年を隠してまで、働くタイプじゃない。金にも困ってなけりゃなおさらだ」
「……うん」
「おおかた、雅紀に迷惑をかけたくないとでも思ってるんだろ」
「…………」
「なんなら、学費一括で返金しようとでも思ってんじゃねぇの」
「…………」
俺は、兄貴の言葉に、頭を殴られたような衝撃をうけた。