第4章 夕虹
「……その売りのバイトは……大野さんが納得してやってるの?」
納得………?
そうだな。
はじめはそうだったかもしれない。
そんなことを考えながら、俺は、頷いた。
「……うん」
「……理由を聞いても……いい?」
うつむいた俺に、静かに松本が問う。
……こんなバイトをするからには、どうしようもない理由があると思ってるんだ。
俺は、そう思ってくれてることに少し救われた思いだった。
好き好んで体なんて売ってない。
それは確かなことだ。
「……お金だよ。お金がよかったから」
雅紀さんへ渡すお金が欲しかった、とは言わなかった。
松本も、そう……と呟いて、黙りこくった。
コチ……コチ……と、目覚まし時計の秒針の音だけが響く。
松本は何を考えてるのだろう。
……嘘ばかりの俺のことなんか、軽蔑したよね。
もう友達すらやめるっていわれたら……どうしようか。
俺は、明日から、またちゃんと一人で生きていけるかな?
俺は、ベッドの上で、ただただ項垂れていた。
夜も深いせいか、走る車も少ないから開いてる窓の外はしんとしていて、時折涼しい風が入ってくる。
さすがに素っ裸には寒くなってきて、思わず、くしゃん、とくしゃみをしたら、松本が、あ……、と
声をあげた。
「…冷えるね。大野さん、着替えはどこ?」
「…………そっちの衣装ケースの中」
腕をのばすと、松本が、適当にピックアップしてくれた。
ありがとう……、と礼をいい、俺はごそごそと衣服を身につけた。