第4章 夕虹
このバイトは、昔、オーナーが人脈を広げるために、始めたらしいが、いつしか店のホールスタッフから何人かピックアップして手広くやるようになったという。
でも……これはシークレット中のシークレットで、決まった誰かの紹介でしか、仕事は受けないことになってる。
そう話すと、
「それ……三宅さんたちは知ってるの……?」
顔をあげた松本が、ぽつりと言った。
「……うん」
俺は、こくりと頷いた。
「あの店で知ってるのは……三宅さんと長野さん」
「……そうなんだ」
「あとは、売り側の俺とホールの何人か」
……さすがにリョウスケの名前を出すのはためらわれた。
すると、松本は、ふーん……、と、考え込むような顔になり、唇をさわってたかと思うと、合点がいったように頷いた。
「……俺が一人でKINGに行ったけど、大野さんがいなかったときがあったじゃん」
「酒のんだとき?」
松本が潰れたときだ。
「……そう。そのとき、そういえば、長野さんたちが、大野はあっちに行った、とか……言ってた。この仕事行ってたってこと?」
「…………そうだよ」
「……そう」
松本は、戸惑いがちに俺を見つめる。
吸い込まれそうなきれいな瞳だった。
まともに見返すことができなくて、俺は、手元のタオルケットをいじるともなしに触っていた。
「……ひとつ、きいてもいい?」
松本が言った。