第4章 夕虹
30分後、俺らは兄貴の車のリアシートにいた。
ハンドルをきる兄貴は無言だ。
「…………」
「…………」
車内は、沈黙を助けるように、兄貴の好きな洋楽が流れてる。
俺の判断は正しかった、と俺は、必死で自分に言い聞かせた。
怖いけど……しょうがない。
これしか方法はなかったもん。
どうみても歩けなさそうな大野さんが、終電に飛び乗るために走れるとは思えなかったし。
あいつがうろうろしていた区域だから、怖かったし。
そうこうしてる間に、最後の電車の時間が過ぎてしまった瞬間、雅紀さんに頼れないとわかった俺が連絡したのは、またもや兄貴だった。
電話口の兄貴は、最初、絶句していたが、俺が事情を説明すると、わかった、と車をだしてくれたのだ。
「ごめん……兄貴」
俺が、恐る恐るいうと、
「……後日、きちんと説明してくれるならそれでいい」
と、ぴしゃりと返ってきた。
居心地悪そうにしている大野さんは、兄貴と俺に、送るから乗ってください、と、無理やり後部座席に押し込まれ、こちらはこちらで黙りこくってる。