第4章 夕虹
だけど、どう考えてもこの状態の大野さんをおいておけない。
ただでさえも、あの変態野郎がこの辺をうろついていたというのに。
……でも……
黙って目を閉じてる大野さんは、疲れきっているようにもみえた。
これ以上の押し問答が、大野さんを困らせるだけならば。
俺は、最大限に譲歩して提案してみた。
「ねぇ……じゃあ俺は帰るから、雅紀さんに、大野さんを迎えに来るように連絡してもいい?」
「!!……だめ!」
「…………」
弾かれるように顔をあげた大野さんは、悲鳴のような声で拒絶した。
俺は、困って、大野さんのそばにしゃがんだ。
大野さんは分かってるのだろうか。
時間的にもギリギリなのに。
「……どうして?」
「どうしても……だめ」
「でもさ、時計みてよ。終電間近だよ?大野さん一人で歩いて帰れるの?」
「…………」
「それを許可してくれないと、俺もここから動かないよ」
大野さんは、黙った。
俺も譲らないつもりだった。
「……雅紀さんには……だめ」
でも、どんなに待っても大野さんは頑なに拒否した。
俺は、しばらく考えて、スマホを立ち上げた。