第4章 夕虹
……でも、どっちにしたって、こんな状態の大野さんを置いて、帰れるわけない。
うつむいてる大野さんに、そっと、
「……水かなにか買ってこようか?」
と、声をかけた。
大野さんは無言で首を振る。
そして、
「ほんとに……ほんとに帰って……」
そして、懇願するように言われてしまった。
どうしよう……そんなこと言われても。
俺は、困ってしまう。
ダルいということは、熱でもあるのだろうか。
俺は、そっと大野さんの額に触れようとした。
「!……触らないで!!」
とたん、首を大きく背けられ、俺は、びくりと手をとめた。
そのとき、大野さんの大きくあいたシャツの隙間から、薄暗がりでもわかるくらいの濃さのアザをみつける。
「…………」
あれは昼間にはなかったはずだ。
俺は、ひとつの可能性に思い至る。
その行為は、例え泊まらなくてもできることだ。
…………そういう……こと?
そうなの?
大野さん……だから……ダルいの?
口にはできない疑問がうずまいた胸で、俺は、立ち尽くした。