• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



ふりむけば、裸同然の格好のまま、うつぶせになり枕に顔を埋めたまま、ぼんやりとした目で、こちらを見てる智。


……あー、こりゃもう寝るなぁ


俺は体をずらして、ベッドの下にあるプラスチックの収納ケースから、智がパジャマがわりにつかってる大きなTシャツを引っ張り出した。
それをぽい、と智の体に投げてよこす。


「ほら、これ着て。裸で寝たらダメだって」

「……着せてー」


智は、ころんと仰向けになり両手をあげた。


「……自分でできるでしょ」


俺は苦笑いして、スマホのアプリを終了させた。

目の前では、智が寝転んだまま、けちー、と言いながら、器用にもそもそとTシャツを着てる。

……こんな無邪気な智は、きっと俺しか知らない。

学校では、地味に過ごしてるみたいだし。
バイトでは……よく知らないけど、忙しいところをみると、表も裏も充実してるのだろう。

だけど、その俺でさえ、智のことを全部知ってるわけではないのだ。

そもそもが、中学生がたった一人で部屋を借りたり、行政のもろもろの手続きをできるわけないから、誰かしらの大人とは繋がっているのだろうけど。
……そんなことまで俺は、関与してないし。


「ニノ……?」

「……なに」


俺にできるのは、智が素に戻れる時間に、時々寄り添うことくらい。


「キスしてよ……」

「……うん」


俺はベッドに乗り上がり、智の冷たい唇に、そっと自分の唇をあわせた。
/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp