第4章 夕虹
Jun
どれくらい時間がたっただろう。
俺は、張り込み中の刑事よろしく、ホテルの向かいにあるコーヒーショップにいた。
ホテルの出入り口がすぐわかるように、窓をむいて設置してあるカウンター席に座り、何杯目か忘れたソイラテに手をつける。
時間がたてばたつほど、絶望しか残らないのはわかってるけど、あと30分だけ、あと 15分だけ、と、ずるずるとその場から離れられないでいた。
ホテルの明るい出入り口を行き来する客がよくみえる。
その一人一人のなかに、大野さんがいないか、探す。
……してることはストーカーみたいだけど、探さずにはいられなかった。
あんなにダメだと言われたけど、出勤するはずの大野さんが、別路線の電車に乗ろうとしてることに気づいたから、思わずあとをつけたのが間違いだ。
どこに行くんだろう、寄り道かな?と、純粋な興味だったんだけど、大野さんが、とあるシティーホテルに入っていったのをみて、愕然とした。
KINGで仕事……って言ったじゃん
だが、もしかしたら、仕事までに、誰かと喫茶店とかでお茶でもしてるのかもって思い直し、思わず向かいのコーヒーショップにとびこんだ。
でも……それならそれで、お茶って……誰と?
そのへんをつっこんでゆくと、どんどん気がめいってゆく。
お茶じゃなかったら……何してんの?
そもそもさ……今日中に帰るの……?
大野さんの想いが、少しだけ俺に向いてると思ったのは、俺の都合のいい勘違いだったのかな……。
どう転んでも傷は深そうなのに、俺は、窓の外を見張らずにはいられなかった。
だって、大野さんが、でてくる時間帯で、傷の深さは違ってくる。
時間は九時半。
俺は、兄貴に、ちょっと遅くなるから、母さんに適当に言っといてくれる?と、メッセージを送った。
帰ったら必ず理由を説明するから、と、付け加えたら、しばらくして、了解、とかえってきた。