第4章 夕虹
「おまたせ」
見上げたら、太陽の光を背負った松本が、にこりとして立ってる。
首にあてられたものの正体は、きんきんに冷えた清涼飲料水。
ビックリしてる俺に、松本は、それをもたせた。
「はい」
「あ……ありがと」
「……どしたの?」
隣に座りながら松本は、プシュっと蓋をあけた。
「……え?」
「元気ない顔してる。……電話、誰から?」
「あ……えっとKINGのオーナー……」
「バイトの話?」
「うん、そう……今日のこと。でも、なんか、今が楽しすぎて、行きたくなくなっちゃったな……って」
間違いじゃない。
嘘はついてないもん……
尻すぼみに小さくなって行く言葉に、
「ふふ……そ?」
言って、松本はボトルに口をつけた。
俺も、曖昧に笑って、ボトルの中身を口に含んだ。
暑くてほてっていた体が、冷えてゆく。
海からくる風に、目をすがめ、松本は笑った。
「……じゃあ。休んじゃう?」
「そうしたいのは山々なんだけど……」
「だよね……ね、やっぱ、俺、今日KING行きたい」
「え……」
「だめ?」
「……ダメ」
そっかー、ダメかぁ……と残念がる松本を複雑な思いでみつめ、俺は、ごくごくとボトルをあおった。