第4章 夕虹
「それにしても喉かわいたなぁ……大野さんは?」
松本は、じわりとにじむ汗を手の甲でぬぐい、辺りを見回した。
「うん。かわいた」
さんざん暴れたもんね。
「(笑)……だよね。ちょっと待ってて。あっちに自販機あったから」
え
「その格好でいくの?!」
「すぐそこだよ。それに水着とかわんないじゃん」
松本は事も無げに笑って、止めるまもなく歩いていく。
俺は、何故だかあわててしまう。
だって。
あんなの……逆ナンされたらどうするんだろ
女の子がほっておかないような気がする。
俺は、なんか心配になり、松本の後ろ姿をずっと目でおっていたが、そのきれいな背中が角を曲がってみえなくなったから、あきらめて、視線を海に戻した。
「…………」
ザザンとうちよせる波の音が心地いい。
釣りもできるためにか、海に突き出たように造成された道。
そこに沿うようにテトラポットが並ぶ。
俺たちはその先端にいた。
目の前には、遮るものはなにもなく、ただひたすらに青い海が広がっている。
昔、父ちゃんと来た以来の……海。
こんな自然に触れるのは久しぶりだった。