第4章 夕虹
「これなら、すぐ乾きそうだな」
松本が大きく伸びをしながら、太陽を見上げた。
濡れた髪をオールバックにして、大きな瞳を細めて笑ってる。
その姿があまりにもまぶしくて……どうにもこうにも自分の気持ちを処理できなくなった俺は、
「うん……そだね。あ、俺もシャツ脱いだ方が早く乾くかな」
いいもって、ボタンをいそいそとはずしかけたら、上から松本の手が、待った、をかけた。
「……?」
「……大野さんはダメ」
「え、なんで」
「虫が寄ってくるからダメ」
「……えー、こんな暑い海に、蚊なんか……」
「……その虫じゃないよ」
「じゃあ、なに?まさかフナムシ?」
「……いいからそのままでいいよ。着たまま乾かして?」
「なんで」
「いいから」
なんだかよくわからないけど、妙な迫力を感じて、ボタンから手を離した。