第4章 夕虹
Satoshi
どこ見ていいかわかんない。
俺は、松本の隣に座りながら、ドキドキする胸をおさえるのに必死だった。
太陽の熱で、熱くなったテトラポットに松本は濡れたTシャツを引っかけて乾かしてる。
だから……だから、上半身は裸だ。
もっとも、風呂に入ってるところも見たことあるし、うちに泊まってるから着替えも見たこともあるから、初めてじゃない。
……だけど。
そのときもそれなりにドキドキはしていたけど、今日はその比じゃないぞ。
俺は、コクンと息をのんだ。
きっかけは俺だ。
ほんの悪戯ごころだった。最初はね。
少し松本を困らせてみたかっただけで。
えい、と、思い切り波を蹴ったんだ。
だけども、困ったように笑いながらも、波を蹴り返してくる松本がとんでもなくカッコ良くて。
キラキラした波しぶきを浴びる彼が、めちゃめちゃカッコ良くて。
だから俺も何回も波を蹴ったんだ。
二人ともずぶ濡れになるまで。
結果。
……水も滴るいい男なんて、いったい誰が考えた言葉なんだろう?
なんて、本気で考えてしまう状況に追い込まれた。