第4章 夕虹
大野さんと初めて映画に行ってから、二回目の自称デート。
どこに行こうか迷ったあげく、
「……海がいいな」
と、いう、大野さんの言葉で行き先は決定した。
電車から海が見え始めると、座席の窓から外をみていた大野さんは分かりやすく笑顔になった。
ボックスシートの座る位置は微妙だ。
乗客はそれほど多くもなかったので、この四人向い合わせのシートは俺らだけ。
本心は隣に座りたかったけど、俺は、大野さんの向かいに座った。
でも、海を見て嬉しそうな表情をみせる大野さんは、とても可愛い。
この席で正解だったな、なんてやっぱり思った。
色素の薄い髪の毛が太陽の光でキラキラと輝き、その柔らかな笑顔を縁取っていて、いつだったか天使みたいだ、と思ったけど、あらためてそう思う。
「好きなんだね。海」
「うん。好き。昔、父ちゃんともよく来たなぁ」
「海水浴?」
「ううん、釣り」
「へぇ……大野さん、釣りなんてするの」
「うん。松本は?」
「……したことない。今度教えてよ」
「ふふ。いいよ。でも短気な人はできないよ?」
「俺、短気じゃねーし!」
わいわい言い合うのも、とても楽しい。
今日の大野さんはメガネははずしてる。
お願いしたからかな?と、俺は嬉しかった。