第4章 夕虹
それから、一週間は何もなかった。
キスマークという気になる事案はあるものの、俺にそれを知られてるなんて思いもしない大野さんの態度はいつもとかわりない。
俺も、少し様子を見ようという雅紀さんの言葉に従い、モヤモヤする気持ちをおさえ、変な素振りなく接しようと決めた。
俺は、朝のバスで大野さんに会うことだけを楽しみに、過ごした。
ちなみに、メガネなしにしない?と、と俺は食い下がったけど、大野さんは、やだよ、と決して伊達眼鏡をはずさなかった。
もったいない……と、思ったけど、でもはずしたせいで大野さんのファンが増えたら困るかもと、思い直した。
「大野さん、明日の土曜日は暇?」
「……明日?」
むかえた週末。
バスをおり、学校までの道すがら、大野さんを誘ってみる。
大野さんはちょっと考えて、
「昼間ならいいよ」
「夜は?」
「KINGだけど……松本は来ちゃだめだからね」
「えー、なんで?」
口を尖らせると、大野さんは、当たり前だろ?と
たしなめるような目をした。
「涼介にもきつく言われてるんだ」
「大丈夫だよ。終わるまで待ってる」
「だーめ。守れないなら会わないよ」
「…………ちぇ」
俺が、ふくれると、大野さんはクスクス笑った。