第4章 夕虹
そんなキスマークつけといて、最後までしてませんなんてこと、あるわけがない。
……経験者なんだ、大野さん
そういう面も、俺がモヤモヤする一因であった。
俺だって童貞ではないが、女の子としか経験はない。
しかも挿入れておしまいみたいな、子供のような拙い繋がりしかしたことはない。
大野さんって……ベッドのなかではどんななんだろ
真っ白な素肌は、すべすべだった、
あれに吸い付いて痕跡をのこしたい男の気持ちが少しわかる。
俺は、快感に喘ぐ大野さんを想像しかけて、あわてて首をふりそれらを打ち消した。
朝から何を考えてんだ!俺は!
「…………どうしたの」
大野さんがきょとんとして俺を見上げてくる。
黒ぶちのメガネのレンズの向こうの純粋な目に、俺は、ふるふると首をふった。
「な、なんでもない」
「……そう?」
不審げな視線にいたたまれなくなり、俺は、
「いや!メガネ……そう!メガネをやっぱ、かけるんだなって思って」
どさくさまぎれに気になってたことを伝えた。