第4章 夕虹
SUVの車内は、広く、とても乗り心地がいい。
クーラーの風を体に浴びてぼんやりしてると、赤信号で車をとめた雅紀さんは、うーん……と、また唸った。
「智は、昨日は……バイトっていってたんだ…」
「……そうですか」
もう作り笑いが顔に張りついてしまったかのように
俺は口だけで返事をした。
バイト……ね
それは嘘だと思った。
だって、俺が大野さんと会ったのは、ビジネス街。
KINGのある繁華街とは、真逆の位置にある。
大野さんが雅紀さんに嘘をついてまで、会っていた相手とは……誰なのだろう。
「ストレートに聞いて……答えるわけないよなぁ」
雅紀さんのこの動揺は、保護者みたいな立場のそれなのだろう。
でも……俺は。
「……きっと、俺たちが知らないだけで、大野さんにはいい人がいるのかもしれませんよ……」
俺は、ただの後輩だ。
想いを告げたわけでもなんでもない。
憤れる立場でも、心配する立場でもない。
……簡単なことだ。
俺は、大野さんの特別……じゃなかった、
ただ、それだけ。