第4章 夕虹
雅紀さんの車は、大野さんのアパートから少し離れたところにあるコインパーキングに停めているという。
二人でその場所に向かいながら、雅紀さんは、不意に俺に、
「……ありがとう」
と、言った。
「……え?」
真意がわからずに、驚いて雅紀さんを仰ぐ。
すると、彼は困ったように笑った。
「背中のこと。智に真実を聞きたかっただろうに、黙っててくれて」
「…………聞けませんよ、そんなこと」
俺が苦笑いすると、雅紀さんも困ったようにため息をついた。
「……ごめん、俺が一番動揺してるかも」
「…………」
「確認だけど、あれ君じゃないよね?」
「……っ……違いますよ!」
「だよね……」
雅紀さんは、腕組みして、んー……と唸った。
「……あれさ」
「……はい」
「相手、女じゃないぞ」
「……でしょうね」
「しかも智が受ける側をしてる」
「どうして……言い切れるんですか」
すると、雅紀さんは、小さく微笑んだ。
「分かるんだよ。あの跡のつきかた。愛され方」
愛され方……。
胸がズキっとした。