第4章 夕虹
「…………ま……さきさん?」
大野さんが、小さく呟いた。
「うん……そうだよ」
雅紀さんは、大野さんの横にしゃがんで、赤い頬に手の甲をあてた。
「松本くんから、智の様子がおかしいって、ヘルプの連絡が来てさ」
「…………」
「昨日の雨で冷えたのかもって、松本くんが言ってるよ。どこ行ってたのか知らないけど……わりと熱がでてる。気をつけなくちゃダメだよ」
「…うん……ごめん…松本は?」
雅紀さんの言葉に小さく頷いた大野さんは、俺の名を呼ぶ。
「いるよ」
雅紀さんの後ろから顔を出すと、大野さんは安心したように微笑んだ。
「よかった……帰っちゃったかと思った……」
その顔がすごく可愛くて、俺は残っててよかった、と強く思った。
俺は、持ってたお椀を大野さんに見せた。
「雅紀さんの朝ごはんいただいてたんだ。……すごくおいしいよ」
「……え……人参入ってるやつでしょ」
大野さんが嫌そうに顔をしかめた。
雅紀さんは、くすくす笑って、大野さんのTシャツをまくりあげた。
「なんでも食べないと治りません。汗かいてるっぽいから……ほら、着替えて。さっぱりしてから俺の特製粥食べてよね」
「いらないよぉ……」
大野さんがだるそうに首を振った。