第4章 夕虹
さて……と。
具合の悪くなった大野さんに、俺ができることはもうない。
名残惜しいけど、ただでさえもせまい部屋なんだから、看病は雅紀さんにおまかせして、部外者はとっとと退散しようと、帰り支度をしていたら、
「何も食べてないんでしょ。朝ごはんくらい食べていきなよ」
雅紀さんは、家から適当に持ってきたという食材で、またたくまに野菜のスープ粥をつくってくれた。
だしのいい香りに、腹の虫がくうっとなった。
「ふふ……はい、どうぞ」
「あ……ありがとうございます」
ほかほかのお椀を渡されて、割り箸を口で割った。
「この家、食器もほとんどないんだよなぁ……」
ちいさな棚を見渡して、雅紀さんはひとりごちる。
「二宮くん来てたとき、どうしてたんだろうなぁ」
…………
箸がとまる。
大野さんと親しいと言っていた二宮。
家まで来る仲だったんだろうか。
……どんな関係性なんだろう。
今さらながら気になった。