第4章 夕虹
無理をする……というか無茶をする、なんだろうな。
俺は、がらんとしたちいさなキッチンに目をむける。
食に興味なさそうな大野さん。
ちゃんとしたもの食べてるのかな、と心配になる。
そりゃあ体調も崩しやすいだろう。
雅紀さんは、片手をのばし、手のひらで大野さんの頬を包んだ。
そうして、仕方ないなというように親指で大野さんの頬を撫でる。
さっきよりも、また少し赤みが濃くなってるのは、熱があがってきてるからか。
目を覚まさない大野さんは、深い眠りに入っているみたいだった。
雅紀さんは、続ける。
「……夜のバイトだって、いつのまにか決めてきてさ……金の心配はいらないっていうのに」
「……そう……ですか」
「やっぱり……あんまり頼りたくないのかなぁ……俺、所詮他人だもんなぁ」
最後は呟くように言って、自嘲気味に笑って立ち上がる雅紀さん。
俺は、あわてて、
「そんなことないです」
と、雅紀さんを見上げた。
「大野さん、言ってました。雅紀さんは一番お世話になってて頭のあがらない人だって。……とてもとても大切な人だって」
雅紀さんは、俺の言葉に目を丸くして……それからふわりと微笑んだ。
「……ありがと」