第4章 夕虹
俺は、息をのんだ。
俺の胸のなかに、大野さんがいる。
……びたりとひっついて、すうすうと寝息をたててる。
えっと……えっと
どうすればいい?
パニックになったまま考える。
俺は、右半身を下にして寝てる。
自動的に、固まったまま、行き場のなくなった左手を、迷って迷って迷ったあげく……
「…………」
そおっと大野さんの背中に添えてみた。
温かくて柔らかなそこは、大野さんの呼吸の度に微かに動いていて。
……なんだか感動してしまう。
大野さんは完全に熟睡してるみたいだ。
俺は、顔をちょっと動かして、大野さんの髪に鼻をよせた。
シャンプーとミルク石鹸のまじった、清潔な匂いがする。
こんな近くに彼を感じれるのは初めてだ。
俺は、変態感満載だな、と、自分で突っ込みながら、大野さんの香りをゆっくり吸い込んだ。
……いい匂い
もっと、興奮するかと思っていたけど、なんだか幸せな気持ちが勝る。
ぎゅっと体を抱き寄せた。
……もう二度とできないかもしれない、と、俺は、大野さんの体温を感じ続けた。
暑いとは思わなかった。