第4章 夕虹
そーいう店……
「……って、いうと……?」
「可愛い子ぶんなよ(笑)」
おそるおそる問いかけた疑問は、ニヤリとした兄貴に一蹴されてしまった。
いや、だって……大野さんが?
そんなとこ行く?
実は違う人だったのかも、と自分のなかで別人説までたててみたけど、さっきの人はどうみても大野さんだった。
今朝あったばかりだもん……間違えるわけねーし。
いや、でも……あんな綺麗な顔してると、モテるだろうから、女に不自由なさそうなのに。
人は見かけによらないんだな……
少なからずショックをうけてる自分に、兄貴は、よしよしと俺の頭を撫でた。
「お前は……そうだな。あと五年たったら、そーゆーとこ行ってもいーんじゃね?」
「行かねーし……」
「男は経験してなんぼだぞ」
「兄貴はあんのかよ」
「……まぁ、大学のときに友達とな」
「えっ……!」
俺がびっくりした顔をすると、兄貴はいたずらっぽく笑った。
「……言っとくが、本番はしてないぞ」
「いや……まぁ、どっちでもいいけど……」
なんだか、あわあわとしてしまう。
なんてとこ行ってんだ、兄貴!