第4章 夕虹
兄貴は、分かっていたというように、ふっと息をついた。
「……当たりか」
「………」
そうだ、とも、違うとも言えずに、俺は箸を握ったまま呼吸が早くなるのを感じてた。
これを肯定してもよいものか。
だって、兄貴は、同性愛にあまりいい印象を持ってないみたいだもの。
蔑んだ目で見られるのは、少し怖い。
それに、ほんとなら、大野さんの人柄の良さを分かってもらってから、その先を語ろうと思っていたのに。
でも、嘘をつくのも……
「……当たりなら、今さら黙るなよ」
兄貴は、肉をひっくり返してから俺の顔をじっと見た。
心の奥底まで読まれそうな、理知的な大きな瞳には、侮蔑の色は見当たらない。
……大丈夫。俺は悪いことなんかしてない。
ただ、あの人が好きなだけ。
俺は、促されるままに、
「…………そうだよ」
小さく頷いた。
「俺は……大野さんのことが好き。」