第4章 夕虹
「遅くなったけど……潤、誕生日おめでとう」
「……ありがと」
ビールとジュースで乾杯する。
兄貴はごくごくとグラス半分くらいまで一気にあけてから、うめ、と呟いて、カッターシャツのボタンをひとつあけた。
俺も、喉がカラカラだったから、グラスのオレンジジュースを空にする。
兄貴は、すぐ店の人に目配せしてくれて、おかわりの飲み物がでてきた。
……こういうとこかなわない。
「さ。焼こうぜ」
高級な肉厚なタンを網に広げたら、ジュワジュワとうまそうな煙があがった。
同時に腹の虫がぐーっと鳴り、兄貴がクスクス笑った。
「鳴いてるぞ」
「……聞こえた?」
「あんなでけー音、聞こえねぇわけないだろ」
「だって、めちゃくちゃ腹減ってんだもん……」
「ふはは……ほら」
兄貴は、ひっくり返したタンを、じゅーっと網におしつけて、しばらくしてから、俺の皿にのせてくれた。
いただきます、と言って、口に運ぶ。
肉汁がじゅわっと広がり、あまりのおいしさに、目が丸くなる。
「うま……なにこれ」
「……よかった」
「白ご飯食いたい」
「もう飯か?」
「飯でしょ!」
思わず笑いあった。