第4章 夕虹
教師の授業を子守唄に、机に伏せて居眠りをしていた俺のポケットがブルブル震えた。
寝ぼけ眼で、片手でこっそり取り出したそれを確認すると、兄貴からのメッセージだった。
『今日暇か』
たった一言。
この一言が、舞い上がるほど嬉しかったのはかつての自分だ。
今は……
俺は下唇を噛んだ。
うん……今でも嫌ではないと思う。
あの日からまともに口を聞いてないから、そろそろ話をしなきゃと思ってたくらいだし。
俺は、手早く返事をうった。
『焼き肉がいい』
『了解』
すぐの返信に、苦笑いしてしまう。
仕事中だろ……何してんだよ。
俺は、そのままスマホをポケットにもどした。
顔をあげると、教師とバッチリと目が合う。
げ。
やばいと思ったとたん、ちょうど授業終了を告げる鐘がなった。
俺は胸を撫で下ろし、ガサガサと机の上のものをリュックに放り込む。
兄貴とサシ。
久しぶりの予定に、嬉しいのか嬉しくないのか、自分でもよくわからない感情をかかえ、俺は学校を出た。