第4章 夕虹
固形物を体にいれることにより、体が少し元気になってきた自覚はある。
夏だというのに冷えきってた指先も温まり、ぼんやりしていた頭も、霧が晴れるようにはっきりしてきた。
食事って大事だな……。
椀の中身を全部食べると、雅紀さんは、よしよし、と、嬉しそうな顔になった。
お腹がふくれると、気持ちにも余裕ができた気がする。
ごちそうさまでした、というと、雅紀さんは、お粗末さま、と微笑んで、椀を手にしてキッチンに入った。
「明日から学校だろ?」
「はい」
「課題は?終わってるのかい?」
「まだです」
「……ほんとに?(笑)」
「今夜は徹夜かな(笑)」
真ん丸な目をしてる雅紀さんに、へへっと笑って見せた。
「翔ちゃんに半分手伝ってもらえば?」
雅紀さんが提案するが、俺は首をふった。
「ダメなんです。そういうとこ律儀というか、頑固というか。手伝ったら俺のためにならないとか言っちゃって。分からないところは教えてくれるんですけど」
「あはは。翔ちゃんらしいな」
「頭がかたいんですよ……」
兄貴の言動にひとしきり笑ってから、雅紀さんは、はた、と考えついたように、眉を寄せた。
「……そーいや智は課題は終わったのかなぁ」
ずっとバイト行ってたみたいだからなぁ……
呟く雅紀さん。
俺は、ちょっと身を乗り出して、気になってたことを聞いてみた。
「あの……大野さんって彼女とかいるんですか?」