第4章 夕虹
「後輩のくせに、俺を呼び捨てすんの翔ちゃんだけだったんだよね」
雅紀さんが、くすっと笑うから、俺は思わず、すみません……と、謝った。
すると、雅紀さんは、今度こそ大きな口をあけて笑った。
「なんで、松本くんが謝んの(笑)」
「……だって……」
「翔ちゃんだったからいいんだよ。それに、彼は、先輩みんなに可愛がられてた」
「…はい」
「人気者だったよ」
「そう……ですか」
初めて聞く兄貴の学生時代の話だった。
女の子と遊び歩いてるイメージしかなかったけど……。
「当時からイケメンだったけど、昨日再会したら、相変わらずカッコ良かった…なんか、緊張しちゃったな」
優しい顔で語る雅紀さん。
ほんとに、兄貴のことを可愛がってくれてたんだろうな。
でも……兄貴は、俺に、ケーキ屋で出会った大野さんと一緒にいた連れを、大野さんの恋人と勘違いしてた。
なぜなら、そいつはゲイだからって……。
それって……雅紀さんのことだよね。