第4章 夕虹
Jun
……ショックをうけた精神状態をひきずってるせいか、俺は、なかなか眠れなかった。
しまいには、現場を思い出して突然気持ち悪くなり、飛び起きたりする始末。
ドキドキする心臓と冷や汗に、目眩がしそうになるたびに。
微かに聞こえる大野さんの寝息に耳をすませ、心を落ち着けた。
……大丈夫。
大野さんの声。体温。それらを思いだし、深呼吸をしてまた目を閉じる。
その繰り返しだった。
そうやって一晩中うつらうつらしてるうちに、カーテンの向こうが、いつしかほの明るくなってきた。
そっと起き上がり、ベッドをみおろす。
大きな枕にうもれた大野さんが無垢な顔ですやすや眠ってる。
前に泊まった時も思ったけど……天使みたいだなと思う。
色白な肌も、茶色がかったやわらかな髪の毛も。
睫毛も長くて……清らかな美しさすら感じる俺はおかしいのかな。
だが、一方で、昨夜の彼はとても頼もしかった。
肩を抱かれ、背中を擦られて。
怖くて苦しくて、自分を捨ててしまいたい衝動すらも、ゆっくりと浄化してくれるみたいだった。
「……ありがと」
そっと呟いたら、大野さんが。うーん……と、うなって、またころりと寝返りをうった。
枕元の時計は、朝六時半。
どうにも喉がかわいた俺は、大野さんを起こさないように、そっと部屋をでた。