第4章 夕虹
でも、ここで、俺まで泣いたらダメだ。
俺は、必死で我慢しながら、松本の背中をそっと擦り、そっかー……と、呟いた。
「松本は俺の父ちゃんの命日に生まれたんだ。なんか……運命感じるなぁ」
「なにそれ……」
「……来年はちゃんと当日に祝おうな」
俺の言葉に、松本はふふっと肩をゆらして笑った。
「……お父さんの命日なら、大野さんはおめでとうって感じじゃないでしょう」
「別にいーよ。父ちゃんはそんなこと気にしない」
「俺は気にするよ」
「いーんだよ。二つイベントがあると思えば。だいたい、父ちゃんには雅紀さんがいるんだから。俺だって……」
そこまで言いかけると、松本がひかれるように顔をあげた。
「…………俺だって……?」
「…………」
いや。
何いってんだ、俺。
松本の大きな瞳が、じっと俺を見つめる。
内心焦りながらも、俺は、何食わぬ顔で、
「とにかく。来年こそ祝おう」
無理矢理、話を終わらせた。