第4章 夕虹
「ごめんな……俺がいれば……」
「……大野さんは悪くないよ。兄貴と喧嘩してるから、家に帰りたくなくて。ぐずぐずしてた俺が悪い」
うつむいた松本は、笑いながらも小さく震えてる。
どんなにか怖かっただろう。
俺は、思わず松本の肩を引き寄せた。
俺より背が高くて頼もしい男だと思っていたけれど、今の彼は、消えそうなくらい冷たくて頼りない。
俺は温かな体をギュっとくっつけた。
裏のバイトで、大人の男の相手をしてる俺には、痛いほどわかる。
成人男性は、高校生の俺らとは、体格も力も違う。
本気で組敷かれたら、逃げ出せない。
俺なんかは、ヤるという契約があるから、割り切ることはできるけど、こんな強姦まがいなこと……
「俺ね……今日誕生日だったんだ」
「……え……」
「けど、兄貴と揉めたからむしゃくしゃしてて。そうだ……大野さんに会ったら、いい日になるなぁって思ってさ……」
ぽつりぽつりと、松本がこぼす言葉に、俺まで泣きそうになった。