第4章 夕虹
久しぶりにみた彼の笑顔は、とても綺麗だと思った。
だからこそ口元の傷が目立つ。
これをつけたやつが腹ただしい。
端が切れて血が滲んでるそこに、できそうなら塗ってあげて、と、雅紀さんに塗り薬を持たされてる。
顔の傷は、早めに処置しないと跡になるという。
「……」
この話題……今なら触れても大丈夫かな
俺は、薬を見せてそっと問いかけた。
「その口元の傷……俺が塗ってもいい?……それとも自分でする?」
「……え……?」
松本は驚いたように、俺を見る。
気がついてないのかな……
俺は、自分の同じ場所をちょんちょんと指さした。
「ここ。痛そうだから」
松本は、細い指で自分の口をさわり、ちょっと顔をしかめた。
「…………麻痺してたからわかんなかった」
「……ぶたれたの?」
「…………」
「ごめん。言いたくなかったら……」
「……つっこまれた」
「…………」
何を、は、愚問だった。
「……誰に?」
松本はまた泣きそうに顔を歪めた。
「いつだったか……俺が遊びにいったときに絡まれたやつ」
「…………」
あいつか……!