第4章 夕虹
雅紀さんの強い勧めで、俺と松本二人で、雅紀さん宅へ一晩泊めてもらうことにした。
「松本くん、お風呂入っておいで。汗びっしょりじゃん」
雅紀さんは、何も聞かずに、松本を風呂場に追いやった。
まとめて洗うから、汚れた服は洗濯かごに放り込んでおいて、とも言ってくれた。
脱衣所で、ぼんやり立ちつくしてる松本を気にしながら、手招きする雅紀さんのところへいくと、雅紀さんは、声を潜める。
「……たぶん、松本くんはしばらく一人にしない方がいいと思う。智、よくみててあげて?」
「……うん」
俺が神妙に頷くと、はい、これ、と真新しいバスタオルやTシャツを渡された。
脱衣所に戻ると、松本は、戸惑うような瞳で俺を見る。
痛む胸を悟られないよう、俺は、なるべく安心させるように微笑んで、かごの上にタオル類を置いた。
「着替え、ここに置くね。ゆっくりはいっといでって」
「大野さん……俺……」
「大丈夫だよ。雅紀さんは、信用できる人だよ」
「違う……俺、こんな風に迷惑かけて……」
「ちっとも迷惑なんかじゃない」
俺は、自分より背の高い松本の頭をポンポンと撫でた。
「大丈夫だよ」
すると、松本は、大きな瞳を潤ませて、小さく、
「…………ありがとう……」
と、言った。