第4章 夕虹
途中、雅紀さんに電話をする。
父ちゃんの好物のケーキを、つい二時間ほど前に一緒に食べた俺に、
『……どうした?忘れ物かい?』
すぐに穏やかに応答してくれた。
俺は、ともすればパニックになりそうな頭を叱咤しながら、雅紀さんに手短に事情を説明した。
雅紀さんが、硬い声になる。
『松本くんが?』
「うん。雅紀さん、申し訳ないけど車出せる?」
おそらく終電はすぎてしまうだろうし。
もしかすると、松本は、とても普通に帰れる精神状態じゃないかもしれない。
雅紀さんの車が頼りだ。
……でも、アルコール飲んじゃったかな……
夕食を共にしたとき、雅紀さんが、夜、父ちゃんと酒を飲むって話してたのを思い出す。
多分また泣くだろうから、俺の前では飲まないって笑ってたもんなぁ……
祈るような思いでお願いすると、雅紀さんは、あっさり、いいよと了承してくれた。
「まだ飲んでなかったの?」
『うん。もう少ししたら、と思ってたから』
……よかった。
どこに行けばいい?と、言う雅紀さんに、KING近くの大通りを指定し、俺は、駅に向かって駆け出した。