第4章 夕虹
「おまえ、何本食う気だよ」
「コーコーセーってのは、食っても食っても腹が減るんですー」
あきれる兄貴を前に、俺はテーブルに設置されてるタブレットで追加注文を入力する。
焼き鳥が食べたい、とリクエストした俺に、『おまえは、質より量だろ』と連れてこられた有名チェーン店は、思いのほか美味しかった。
ファミレスのように、タブレットで注文っていうのもお手軽でいい。
まるで飲むように、鳥ももをたいらげてゆく俺を、苦笑いして眺めながら、兄貴は、セセリをかじった。
「あ、ビールもう一杯追加して」
「りょーかい」
画面をタップする俺に、兄貴はふふっと笑った。
「ん?なに?」
俺は、送信したタブレットをもとの位置にもどして、お茶に口をつける。
兄貴は、感慨深そうに微笑んだ。
「いや……おまえも大きくなった、と思ってさ」
「なにそれ。親父かよ(笑)」
「彼女は?」
「ん~……今はいない」
「なんだ、それ。おまえ、モテんのになぁ」
何気ない兄貴の言葉に、胸がチクリとするが……あえて、気がつかないふりをした。
俺は、ぎこちなくならないよう気を付けながら、ピッチャーからお茶をドボドボついだ。
「……兄貴は?けいちゃんと順調?」
「ん?まぁな」
照れながら答える兄貴を、まともにみれなくて……みたくなくて。
目を伏せながら、一緒に頼んでたポテトサラダに手をのばした。