第4章 夕虹
「わっ…………!!」
力一杯ひっぱられた腕。
抵抗するまもなく、暗がりに引き倒される。
「?!」
すぐに起き上がろうとしたが、いち早く何者かが馬乗りになってきて、地面に縫い付けられた。
手から離れたスマホが、こんっと音をたて、アスファルトを滑って行く。
したたかに打ち付けた肩が強烈に痛かったが、それ以上に自分のおかれた体勢に血の気がひく。
俺は焦りながら、俺の上に乗ってる男を見上げた。
暗闇で俺を見下ろす男は……
「あ……」
「やぁ。いつかはどうも」
KINGに遊びにいったときに、大野さんが、からまれていた男だった。
俺も絡まれたけど、全力で逃げたあいつ。
そいつは、にやにやと酒くさい息をはきながら、俺に顔を近づけてきた。
「やっと会えたなぁ?」
「………っ」
「ずっと待ってたよ」
ギラギラした瞳が弧を描く。
やばい……まずい……こわい……!
この状況は、恐怖でしかない。
俺は、ひきつるようにあえいだ。
……え……なに……今から、俺はこいつになにをされるの。
殺されるのか。
辱しめられのか。
こんなとこで……?!
「たすけ……」
お金ならあげる…!
そう呟こうとした言葉は、そいつのテラテラした唇に塞がれた。