第4章 夕虹
俺は、思わず通りのど真ん中で、立ち止まってしまった。
二件あった不在着信は、ふたつとも兄貴だと思っていた。
だが、ひとつは確かに兄貴だったが、もうひとつが大野さんだったなんて……思いもよらなかった。
留守電ありの表示をタップして、スマホを耳にあてながら、道の端による。
『松本……?大野です』
飛び込んできたのは、やわらかな声。
……今や、焦がれてたまらない人の声。
『えっと……用事はないんだけど……元気かな、と思って電話してみました。あ、今日はバイト休みだからさ……』
……知ってる。
『夏休み終わっちゃうけど……よかったらまた泊まりにおいでよ。迷惑なんかじゃないから』
…………。
『じゃあ……またね。新学期でね』
プツンと通話が途切れる。
俺は、あったかい気持ちでいっぱいになった。
兄貴が、どう吹きこもうが、大野さんはかわってない……、と、思った。
俺は、ゆっくりと画面をみつめた。
今日会ってた人っていうのが、ちょっと気になるけど。
でも、家の用事って言ってたし……。
ちょっと……電話してみよっかな。
今ならまだ起きてるよね?
そう思った俺は、表示されてる大野さんの番号をタップする。
ドキドキしながら、トゥルルル……という呼び出し音をきいてたら、突然がしっと腕をつかまれた。
「?!」
驚いて振り返ったと同時に、すごい力で路地に引きずり込まれた。