• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



「あー長野くん、潤、泣かしてる」


応対していた客が帰り、こちらににじり寄ってきた三宅さんが、非難めいた声をあげた。

長野さんは、いやいや心外だな、と体を起こした。


「ちょっと話し込んでただけだよ。ね?」


言って、俺を振り返るから、俺も、笑って、はい、と頷いた。
三宅さんは不審そうな顔で、俺と長野さんを見比べて言った。



「大野呼ぼうか?」

「え」


まじで?


一瞬ドキリとしたけれど。



「もー……適当なこといわない。大野は、今日はたぶん無理」

「あ……そっか」



三宅さんが頭をかく。

なんか知っていそうな感じで、思わず、なんですか、と聞いてみた。
すると、


「今日は、家の用事って言ってたからね……」


長野さんが、肩をすくめて、俺のグラスの横に、お冷やを置いてくれた。


「どうする?もう一杯つくろうか?」

「いや……もう、いいです」


うまく話をそらされた気がするけど……まぁいいか。

スマホを立ち上げると、11時半。

俺は唇をかんだ。


そろそろこのあとの動きを決めないと、終電を逃してしまう。




「お兄さん……心配してると思うよ」


黙りこんだ俺に、暗に、帰ったら?と、長野さんが促してきた。


俺はうつむいた。


そうだよね。
大野さんには今日は会えないと分かった時点で、俺の身の振り方は、ほんとはもう決まってる。


俺は、ゆっくり顔をあげた。



「俺……実は今日、誕生日なんです」

「え、そうなの?」

「兄貴……ケーキ買ってきてくれてて」

「……いいお兄さんじゃん」

「……ちゃんと話します。大野さんのことも」


そうだね。


「それがいいと思うよ」


そう言って、長野さんは微笑んだ。



/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp