第4章 夕虹
一度想いを口にしてしまうと、なんだかいろいろ吹っ切れてしまい、そのまま俺は、大野さんがどれだけいい人で、可愛らしいのか、を、長野さんに熱弁していた。
「で……あの人、朝ごはん食べないっていうから」
「うんうん……」
「俺、無理矢理おにぎりつくったんですよ」
「うん」
このあいだ、泊まった日の朝のことを話す。
長野さんは、きっと聞き上手なんだろう。
彼の優しい相槌に、俺は、なんだかいろんなことをしゃべり続けた。
「でも、彼の寝癖がやばくて」
「……どんな?」
「もう鳥の巣みたいで、くちゃくちゃで」
「ふふ……そう」
「すごく……可愛かったんです」
「そうか……」
言いながら、長野さんはそっとおしぼりを俺にさしだした。
俺が、顔をあげると、長野さんは微笑んで自分の頬をさし、
「拭きな」
と、いった。
「……あ」
喋りながらポロポロと涙がでていたことに気づく。
頬が熱い。
鼻や、目も熱い。
どうしよ……カッコ悪い。
アルコールっていうのは、すごいなと思う。
気持ちが素直になってゆく。
そして、それ以上に、ここの店の雰囲気や長野さんたちバーテンダーの人柄に、心を開かせる何かがあるのだろう。
俺がうつむいて、ごしごし顔を拭いてると、
「何抱えてるかわかんないけど。良かったら言える範囲で言ってごらんよ……?」
長野さんが俺の頭をポンポンと撫でた。